【書評】空間づくりにアートを活かす ともにつくるプラスアートの試み

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書評
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大阪のコワーキングスペース×シェアオフィス・レンタルオフィス『コモンルーム中津』の図書コーナーに置いている本を、スタッフ目線で書評(ブックレビュー)します。コワーキングペースのビジター利用は90分500円から、予約不要でご利用いただけます。今回は、「アート」と「空間」についての本です。

【著者】池村明 【企画】株式会社環境計画研究所

スタッフの谷口です。ある日、心斎橋から本町へ御堂筋を徒歩で北上したときのことです。何気なく御堂筋沿いにある銅像に目が止まり、たまたま「誰が作ったのかな〜」と目を向けました。

「佐藤忠良 作」

正直、驚きました。道ばたで一人声を出しそうになりました。佐藤さんは日本でも著名な彫刻家で、近年世田谷美術館でも展覧会を開催。関西近辺だと滋賀県にある佐川美術館にいくつか作品が所蔵しています。彼の顔は、彫刻家だけではありません。「大きなかぶ」という絵本の挿絵を描いていたり、実は世間でも良く知られている作家さんの一人です。そんな彼の作品が御堂筋に設置されているなんて!!!!と、衝撃でした。

実は、アートって美術館だけではなく、御堂筋などの通りや建物・公園など、日常生活のなかで結構馴染みのあるものなのです。この書籍では、空間のなかにある「アート」に焦点をあてて、「アート」がその空間で果たす役割や効果、そし具体的な取り入れ方について書かれています。

では、はじまりはじまり。

この著書は3部構成です。第1章は、建築などまちのなかにあるアートってどういう目的のもと、どういったものがある?ということ分類分け。第2章は、建築やまちなかにアートをプラスするとどんな効果があるかを事例とともに紹介。第3章は、実際に取り入れる場合にどのような手順・段取りが必要かということを解説されています。

第1章―建築やランドスケープにかかわるアート

①街なかのシンボル彫刻

例えば、東京・上野にある西郷隆盛像のような人物像、また長崎の平和公園内にある「平和祈念像」などモニュメントが挙げられます。その土地の歴史・また地縁のある人物や出来事の記憶を浮かび上がらせます。このような彫刻は、明治時代以降に積極的に国家・自治体・地域の団体などが整備をおこなってきました。「何をつかったか」ということが、重要な意味を持ちます。

②公共空間における芸術作品

冒頭に例を挙げた御堂筋にある佐藤忠良の作品。著名なアーティストの作品を都市や建物の中に配置することで、まちづくりの中で、文化や個性・国際、先進など付加価値をつけるのが設置の狙い。そのため、どのような付加価値をつけたいのかというところにアーティスト選びで重要視された。つまり、「誰がつくったのか」を重視します。

③空間づくりをささえるアート表現

この著書のなかでは「プラスアート」とも呼ばれ、設計者が目指す建築・ランドスケープと一体となる空間づくりを作品がサポートしながら、利用者に豊かさを提供することが目的。この空間を利用する人たちの気持ちをとらえることが重要なテーマです。「何をめざすか」を重視します。

第2章―プラスアートの機能

第2章は、以下の7つのテーマに沿い事例がいくつか挙げられています。

*間をひきしめる

*特徴をひきだす

*コンセプトをつたえる

*記憶をよびおこす

*共感をうながす

*負担をやわらげる

*景色をととのえる

第3章―プラスアートの建築・まちづくり

実際に、建築物やまちづくりのなかで発注する段取りとなると…誰に、どこに、どのように発注をするのかという具体的な動き方について書かれています。

*誰に相談? ・・・キュレーター(展覧会の企画立案をする人)、ギャラリスト(ギャラリー運営のプロ)、コンサルタント、コーディネーター(アーティストや設計者など各方面の調整役)

*誰に依頼? ・・・アーティスト、コーディネーター、コンサルタント

*誰に発注? ・・・アーティスト、コーディネーター会社、施工者経由の発注 ※実際の施工する予算と、発注するアーティストの市場価格も踏まえて検討

*契約する上で ・・・瑕疵責任、権利をどうする?

*実際に制作から運用 ・・・アーティストがどのような素材、制作方法などで制作しているのかを知る、施工に合わせてプランを固める、過程の確認、サイン・照明など作品周辺の環境の調整

*制作後 ・・・作品破損などのトラブル、広報など

大阪の協働ワークスペースなら、コモンルーム中津

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コワーキングスペースは、予約不要のビジター利用/月極利用のメンバー利用から選んで、スペースを利用することができます。パンケーキランチ会や、読書会、アートを観る会などのイベントを開催することも。専用のデスクを利用できる「シェアオフィス」、個室の「レンタルオフィス」、貸会議室も併設。大阪のオシャレで快適な協働ワークスペース「コモンルーム中津」に、どなた様でも、お気軽にお立ち寄りください。

【ビジター利用】
営業時間:平日9:00~20:00/土曜9:00~18:00
利用料金:90分500円/3時間1000円/1日利用1500円