対話型鑑賞の探求の先に 〜また新たな挑戦へ

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スタッフブログ
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大阪・梅田エリアからほど近い協働オフィス・コモンルーム中津。2階のコワーキングスペースでは各種イベント・セミナーを企画・開催しています。今回のブログは、イベントの一つである「ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会」について。スタッフ谷口、とある宣言をいたします!

Vol.10で最終!コモンルーム中津で「アートを観る会」

スタッフの谷口です。
2015年7月25日から始まった「ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会」。コワーキングスペースでビジュアル・シンキング・ストラテジー(以下VTS)の手法を用いて、対話型鑑賞をするイベントを定期開催してきました。

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2017年6月9日の「ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会 vol.10 〜梅雨の時期にじんわりと」を最後に、一旦コモンルーム中津での開催に終止符を打とうと思います。vol.10の広報文を書いているときに、私のなかで「あ…このvol.10で最後にしよう…」と降りてきました。なぜ、終わるのか…ということを記していきたいと思います。

なぜ対話型鑑賞を学ぼうと思ったのか?

対話型鑑賞を学ぼうと思ったきっかけは……正直「勘」以外の何者でもありません。なぜその「勘」が発動をしたのか。時が進むにつれて明確になってきたので、そこから触れていきたいと思います。

時は遡り、大学卒業後。大学を卒業してから関西の某美術館で看視員のお仕事を3~4年ほどしていました。

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※イメージ写真です。こちらの施設と内容は無関係です。

美術館で働いている当時、お客様から色んな声を聞きました。そして現場にいると、話してくださりました。

美術館は敷居が高い
服装もちゃんとしなければならない
ルールがいっぱいで息苦しい

美術館という場が好きな私にとって、それらの声は悲しい声でした。「アートは自由!」というイメージもあったため、不自由さをなげくお客様の声になぜかな…?という疑問が生まれたことが、私の活動の原点かもしれません。

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そういえば美術館から提供されているコンテンツといえば、その当時は解説に音声ガイドが多い印象でした。それらは一方向の講義のようなスタイルで、背景や作家自身のことをお話するいわゆる美術史の解説が中心。私はもともと歴史好きなので解説も好きですし、研究施設としての美術館ということを考えると本筋に沿った大切なコンテンツです。お客様のなかでも、楽しみに来られる方もいらっしゃいます。

でも、その一方で敷居を低くするためのコンテンツがないのかな……。
肩肘を貼らずに楽しめる方法ないのかな……。と、思っていました。

ちょうどそのときに「対話型鑑賞」「ワークショップ」という手法に出会いました。

「対話型鑑賞」と「ワークショップ」

大学卒業から2年後、私は神戸大学大学院の博士前期課程に入りました。
大学院在学中は研究のかたわら、ひたすら学んでいたなという印象です。

別の大学施設で科目履修生という形で博物館学芸員資格を取ったり。
大阪大学でのワークショップデザイナー育成講座を受けたり。

中学生時代から一方向型の教育が中心であった学校教育にも疑問を持っていたので、そうではない「学習方法」「学びのコンテンツ」を模索していました。そして、大学院の博士前期課程修了が確定した頃に、京都造形芸術大学でフィリップ・ヤノウィンを招聘した対話型鑑賞の講座が開かれ、そこに飛び込みました。

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What’s going on in this picture?」[直訳:この絵のなかで何が起きていますか?]

この質問から始まる対話型鑑賞は学び深い時間でした。
しかしその当時の私にとってまだ「早い」コンテンツだったかもしれません。

「時が満ちてきた」コモンルーム中津での挑戦

その講座の4年後。
2015年3月にコモンルーム中津で働くこととなり、イベント企画をし始めた頃。
私にできること…と考えているときに、ふっと対話型鑑賞を思い出しました。
それまで、私は対話型鑑賞のある程度の知識とスキルは持っていましたが、場をひらいていませんでした。

場所も、時間も。タイミングが揃った

2015年7月25日から始まった「ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会」を開催することになりました。

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ありがたいことに、毎回たくさんのお客様にお越しいただき、
色々な方と出会い、色んな見方を知ることができました。

新たなステージへ

当初は「コンテンツ」に興味を持ち学びはじめましたが、現在は「コンテンツ」に実際に人が集ったときに起こる「反応」にコミットしています。この「反応」というのは感情であったり、気づきであったり、学びです。現在、「プロセスワーク」というユング派心理学者アーノルド・ミンデルが中心となって創始し発展させてきた自己成長、関係性への取り組みなど統一的に活用できる体系を勉強したり、その他色々とファシリテーションや学びの勉強を重ねています。

その経験も糧にししつつ、続けるうちに一方で対話型鑑賞ができる範囲も見えてきました。イメージでいうとだだっ広い湖で、どこまで続くか分からず右往左往していたけど、徐々に端が見えてきて、広さや形が見えてきたという感じ。

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あくまで「作品」という媒体を通して相手の世界に入りそこで自分が色々と経験をする……ということが対話型鑑賞でできること。それはとても深く濃密な経験なのですが、一方で(言い方もよくないですが)それのみしかできないとも言えます。
この湖から出て、もっと世界の全景を見てみたい…というのが、今の私の野望です。

対話型鑑賞をもうやらない!というわけではないのですが、新たな挑戦に向けて一旦コモンルーム中津で開催してきた「ぺちゃくちゃおしゃべりしながらアートを観る会」を閉じようと思います。

さてと…気合いの入ったブログを書いたのですが、まだ作品の準備をしていないのです(笑)ぼちぼちと準備はじめます!